長谷川 雄一 "Auraアウラ"展 インタビュー

9月1日から展示されている長谷川雄一さんの個展"Aura アウラ"について、コンセプトや制作の裏側など、様々な角度から実際にお話を伺うことができました。Q&A方式でお応えいただきましたので、作品の理解を深めた上で鑑賞をするとまた違った風景に出会えるヒントにつながるかもしれません。

展示会期は2023年10月21日まで。入場・鑑賞無料です。ぜひ、芸術の秋、鑑賞にお越しください。

Yuichi Hasegawa Aura4

”アウラ”というテーマについて

今回のシリーズを制作する上でインスピレーションはどこから得ましたか?

日々の出来事で集積される揺らぎの部分からインスピレーションを得ています。

Aura (オーラ)を見たり感じたりしたことはありますか?

私自身にオーラを見る、や感じ取るという能力はありませんが、目を瞑ると時折、鮮明に色のパターンが流れる時があります。ただ、しばしば空間や物や人から雰囲気の類ではありますが、差異を感じる時があります。それはあくまで5感の集合と過去の経験(記憶)から連想される何かだと考えています。

オーラは変化すると思いますか?

オーラという現象がある前提で考えた場合、変化すると思います。持論ではありますがオーラの総量が変わるというより、濃度や質量が変化すると考えています。

絵の中の「アウラ」は何かの題材に基づいていますか?それとも感情によるものですか?

どちらかというと感情によるものに近いです。露骨にオーラを感じるとかではなく、事象の関係性や時間の奥行きなどの目に見えない事柄に対してAuraとう言う言葉がしっくりきたためです。

絵の中の「色」は、あなたにとって何を表していますか?それぞれの色の背景にある意味はチャクラやエネルギーフィールドによるものですか?

色彩についてはバランスと調和、そして曖昧さを意識しています。エネルギーフィルドを抽出するような神秘的なことではなく時間やリズムのようなゆらぎの部分を定着させている感じです。

プロセスと技法について

テーマ「アウラ」という表現の中で、アクリル絵の具を選んだ理由はありますか?

アクリル絵の具は特有の発色(蛍光色等)があるため好んで使用しています。蛍光色は反発や歓喜、発散の力強さを感じます。そして混色、色調の際に表現の幅を広げる狙いがあります。

様々な「色」が使われていますが、複数の色を重ねる意味を教えてください。

過去・現在・未来の時間、伝達と横断、解像度、を表現するために色を積層しています。

今回のシリーズで正方形のキャンバス(ウッドパネル)を選んだのに意味はありますか?

正方形の揃っている枠ぐみを選んだのは、色を重ねることで奥行きが強調され、立体的に階層を意識しやすいためです。前述したように、正方形のキャンバスの一定の面積で、総量変わらずに質量と濃度の変化の表現がしやすいという理由です。

これらの作品のタイトルは、全て同じでナンバリングによって分けられていますが、個々に特別なタイトルをつけなかった背景に何か意味はありますか?

今回はそれぞれのタイトルを設定して描いたのではなく、その時のイメージや雰囲気(atmosphereのatm)・空気感を留めることに重点を置いたので、ナンバリングが1番妥当だと感じました。

Yuichi Hasegawa Aura

木ギャラリーでの個展について

過去に2回、木ニセコで展示をされていますが、過去の2つの展示会とどのように調和していると思いますか?

過去2回の「Life in colour展」「記憶の回廊展」と今回の「Aura アウラ展」での調和という点においては、人格の『個』を確定させる「曖昧さ」というところが、大きなテーマとして繋がっていると感じています。この意味での曖昧さとは、漠然としたという意味ではなく、私たちの個性や人格の絶え間ない揺らぎの中に存在するニュアンスを指しています。

今回のシリーズではお客様に何を感じとってもらいたいですか?

今回の展示でのアウラ(オーラ)というワードは一部の人々にとっては難色を示すこともありますが、人が当たり前のように行っている五感を駆使してコミュニケーショを取る行為自体が、不思議な現象で成立していて、伝達されている「何か」が人を動かし、物を動かし、宿っていく、それらをひっくるめて「アウラ展」ということで、その曖昧さを楽しんでもらえたら幸いです。

今後の制作でも表現の幅や、テーマの自由度・制作に対する解釈をもっと飛躍させたいと考えています。

ご協力、ありがとうございました。

長谷川 雄一 "Aura アウラ"展

”Aura【アウラ】とは、ラテン語で美風、香り、光輝などを意味し、人や自然、環境、物から醸される独特な雰囲気 「オーラ」 という語源でもある。
その「何か」に取り囲まれ、五感で受け取りながら私たちは生きている。曖昧でありながらも、確実に感じるものが、そこに確かにある。”

展示期間:2023年9月1日~2023年10月21日(ホテル夏季営業終了まで)
定休日:毎週火曜・水曜日
場所:木ギャラリー入場無料(ホテル木ニセコ正面玄関からお入りください)